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院長コラム

院長コラム 2022.5.16

皆様は尊厳死という言葉をご存知ですか?先日相模原市橋本で私の尊敬する石飛幸三先生の講演がありました。
私自身は別に尊厳死協会に所属はしていませんが医師として40年以上仕事をしていて「平穏死」というものがいかに大事かを感じています。その「平穏死」のすすめという事で石飛先生のお考えに共感し今回も講演会に参加させていただきました。「尊厳死」と「平穏死」はどこが違うのでしょうか。尊重するという意味では同じだと思います。私個人的には自然に、穏やかにということが根底にあります。「死」に対して尊厳なのか、「生」に対して尊厳なのか。「尊厳」とは、とうとくおごそかないこと。気高く犯しがたいこと。「尊厳死」とは人間としての尊厳を保ったままで命をまっとうすること。回復の見込みのない状態や苦痛のひどい状態の際に生命維持装置を無制限に使わない等の対応がなされる。「平穏死」とは身体が弱っていく自然な状態を経て平穏に最期を遂げる事。(小学館日本大辞典から)私も在宅医療をやり始めたころは栄養には点滴、呼吸苦には酸素等をやっていました。体の機能が落ちむくみが出ているにもかかわらず家族の栄養願望に答え行っていました。逆に点滴をすればするほどむくみはひどくなり呼吸も苦しくなる、酸素もやればやるほど苦しくなる。逆効果という事を家族に説明して今は殆ど点滴はやらない。酸素も患者様は力を振り絞ってマスクを外そうとする。そうです、自然な呼吸に酸素を入れすぎたら結局酸素を入れすぎて二酸化炭素を出せなくなりさらに苦しい状態なのです。というよりその状況は決して苦しんでいるわけではない。最後のゴールに向かい必死に走っている、そうマラソンのゴール近くの状態です。


ゴールに達したら満足しゆっくりと穏やかな呼吸になり最期を迎える。家族と医者のエゴで今やっていることは果たして目の前の患者様にとりベストな選択だろうかと自問自答し自分なりの答えを出した。それが「平穏」「尊厳」である。誤解されてはこまるが病気に対して戦う事を否定しているのではない。戦う勝算がどれくらいあるかを患者様と十分に話あうことが重要。高齢であっても手術できると太鼓判押すこともあります、逆に年齢はそうでもないけどやめた方がいいのではという事もあります。白旗を振ることも勇気ある戦いの選択肢であると考える。自分の人生、よく考えて答えを出してほしい。そう「人生会議」(ACP Advance Care Planning)を元気な時にすべきではないでしょうか。日本には「とりあえず」という言葉がります。


がんの手術は根治手術です。でもとりあえず抗がん剤をやっときましょうと。私は納得いかない。外科的には無理でした。だから抗がん剤をやるというのならまだ理解できる。でも目先の腫瘍マーカーが高い、でも画像では所見なし。抗がん剤やるべきでしょうか。私はこの「とりあえず」が嫌いです。ただ患者様の気持ちが一番であることは言うまでもありません。ある日、患者様の奥様から電話がありました。患者様は肺癌で病院に入院中。ある日入院中に急変し手術室に行く前に奥様に「中村先生にありがとうと伝えてくれ」と仰ってその後お亡くなりになりました。(合掌)奥様から先生への伝言が最後の言葉でしたよと連絡を受け恥ずかしながら涙が出ました。病気を見つけたこんな私に言葉を残していただき言葉も出ませんでした。この患者様に関しては将来的に苦しくなると思い目先の対処療法を勧めました。人は必ず最期を迎えそして息を引き取ります。自分ができることはメスを持って切ることではありません。私にできることは患者様に寄り添う事、患者様と家族と沢山話をすることです。そして人生会議への相談を受け尊厳し平穏に人生の最期を準備する事です。こんな医者がいてもいいのでは、、、、、いかがでしょうか。
尚、石飛幸三先生の講演会のスライド原稿をご覧になりたい方は私に申し出てください。

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